英語学習をしている多くの方は、「音読が良い」ということを聞いたことがあると思います。
一方で、「音読って本当に効果あるの?」という気持ちや「なかなか継続できない」という悩みを抱えている人もいるかもしれません。
この記事では、
- 英語学習において「声に出す」「音読する」ことがとても有用である証拠
- 音読の効果を倍増させる具体的な方法
- 音読を楽しく継続させるマインドセット(考え方)
について、実際に音読をしながら紹介していきます。
- 音読って本当に効果あるの?―研究や論文を紹介
- 音読の効果を200%以上アップする具体的な手法3つ
- 「棒読み」になってない?
- 「インパクト」と「反復」が鍵
- 継続できるための4つのマインドセット
- ドウェイン・ジョンソンの心に響く言葉
音読って本当に効果あるの?―研究や論文を紹介
「音読」は確かに効果ありそうだけど本当のところどうなの?という点については、たくさんの研究や論文が発表されています。そのいくつかを紹介します。
- 「音読指導の意義」(阿野幸一・太田洋、2011年)
- 音読により、「英語の語順のまま内容を理解する習慣がつく」 「単語や文法の意味と使い方が、文脈と一緒になって残る」といった効果が指摘された。また、学生は「スラスラ読めるようになった」といった肯定的な意識を持ち、自己効力感や学習意欲が向上したことが報告された。
- 「The Effect of Repeated Reading Aloud on the Speaking Fluency of Russian Language Learners」(Brigham Young University, 2022年)
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ロシア語を学ぶ非母語話者を、同じテキストを複数回「声に出して読む」練習を継続するグループと、通常の授業のみを行うグループに分け、一定期間後に自発的発話と音読課題を実施。
音読を繰り返した学習者は、明確に発話速度が向上。具体的には、1分あたりの語数(wpm)やポーズの長さの減少が見られた。発話中のリズムやイントネーションも改善。繰り返し音読が、口頭流暢性を高める実践的トレーニング法になり、特に学習者が「言葉を滑らかに組み立てるスピード」を改善する上で有効と結論。 - 「The Implementation of Reading Aloud in Developing Students' Speaking Skill」(Cokroaminoto Palopo University, 2020年)
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インドネシアの大学の英語学科の学生を対象に、音読を授業に導入し学生のスピーキング能力に与える影響を分析。
流暢性が明らかに改善(ポーズが減り、話すスピードが自然になった)、発音が向上(モデル音声を聞き、繰り返すことでストレス・イントネーションが改善)、自信の向上(音読によって「声を出す」ことへの抵抗が減り、スピーキング活動への積極性が高まった)といった結果。音読がスピーキングスキルの向上に大きく貢献すると結論。
他にも音読が言語学習に効果的だという研究成果は国内外問わず多数発表されていますが、特に、自信が高まったり、学習に積極的になったという効果が素晴らしいと思います。
結論はやはり、音読は「しなきゃ損!」なのです。
音読の効果を200%以上アップする方法
さらに、音読の際、以下のことに意識をすれば、その効果を最大限発揮することができます。
具体例と共に実際に音読してみてください!
生き生きと情景をイメージしながら音読する
では、さっそく次の文章を音読してみましょう!(おじいちゃんおばあちゃんと公園に行ったよ。水辺の近くに黄色いブランケットを敷いて座ったよ。暑い日だったけど、木陰は静かで涼しかったよ。)
まず、英文を読み、和訳も確認して、脳内に自然と情景が浮かびましたか?ポイントは、その情景を、できるだけ生き生きと描くことです。例えば、おじいちゃんおばあちゃんの顔、水辺の匂い、ブランケットの手触り、木陰で感じるそよ風…など、自分にイメージできる範囲からでいいので、想像力を膨らませてみてください。
そして、そのイメージを持って、「音読」していきましょう。「情景をイメージ→Englishに」を繰り返すことが大切です。和訳はあくまで困ったときの確認用です。「情景→日本語→英語」よりもスピーキング力が向上し、いわゆる英語脳が育ちます。
意識的に行うのは最初は難しいかもしれませんが、やさしめの英文から始めるとイメージしやすいのでおすすめです。また、文のつながりを理解するためにも、基本的な文法の知識は押さえておきましょう。
心をこめて、ドラマチックに音読する
次はこの文章を音読してみましょう♪Ben: Oh no! It's like a waterfall!
Alice: Quick! Use the cone as a dam!
Ben: Good idea!
(アリス:ベン、あなたのアイス、溶けてるよ!
ベン:うわっ!滝みたいになってる!
アリス:はやく!コーンでダムつくって!
ベン:天才かよ!
二人のやり取りが生き生きとイメージできたでしょうか?その上で、今度は「心を込めて」「ドラマチック」に音読することがポイントです。
そうすることで、先の「情景をイメージ→Englishに」していく場合と同様に、脳内で「気持ちや感情→English」の回路を太くしていくことができます。
状況に応じた表現が"roll off the tongue"(口をついて出てくる)ようになるためには、この「ドラマチックな音読」がとても効果的です。
カッコつけて、音読してみる
最後はこの文章を音読してみましょう!音読することは言語学習に良いです。発音やリスニングの練習ができます。新しい単語や文法を学ぶことができます。物語や音を楽しむことができます。
これは「説明文」であったり「論説文」のような、事実や意見を淡々と伝える文章です。英検や大学受験の長文読解の為に音読を利用するといった場合に、このような文章は情景をイメージし辛かったり、感情を込めて読むとかえって不自然になることもあります。
解決策は簡単かつ効果的で、見出しにある通り「カッコつけて」読むことです。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズのスピーチや、TED講師のレクチャーなど、ステージで説明している姿、とってもカッコいいですよね? "I have a dream."を世界一かっこよく語れるキング牧師のように、"I have an apple!"という一言ですら、自信満々に決めてみましょう(笑)。音読するのががますます楽しくなりますよ😊
後の「マインドセット」の部分でも触れますが、ささいな一言でも声に出来たら自信をもつことがとっても大事です!
「棒読み」だと効果半減
音読練習をするときは、いつのまにかそれが「作業」になってしまい、ただの「口の運動」にならないようにしましょう。
上記のポイントを意識して音読することは、ただ言葉を発するだけに比べると、精神的にもエネルギーが必要で、何も考えず文字を読むより疲れるかもしれません。ですがそれに見合った効果がありますから、短時間でもいいので継続することが大切です。
「インパクト」と「反復」が鍵
では、「情景を生き生きとイメージ」して「ドラマチックに」「カッコつけて」音読することがなぜその効果を倍増させるのでしょうか?それは脳の記憶の仕組みに関わってきます。
すぐに忘れてしまう事柄もあれば、一度だけの経験でも鮮明に記憶されている事柄もあるのではないでしょうか。
この違いは、その出来事の「インパクト」にあります。修学旅行の思い出など、心に深く刻まれた思い出は忘れることがないのです。
また、人の名前を覚えるのが苦手な人に有効なテクニックとして「声に出し」「反復する」という方法があります。「○○さんおはよう」「○○さんありがとう」と、意識的に名前を口にすることで、顔と名前が一致していくのです。
英語の音読においては、楽しく続けていくことで、脳内に「英語での反射神経」が自然と鍛えられていくのです。
継続できるためのマインドセット
そうは言ってもやっぱ続けるの大変だよね?という方は次のような「発想の転換」を参考にしてください。
「勉強」ではなく「生活の一部」にしてしまう
音読に限らず、英語は「生活の一部」として自然に触れる時間を増やした方が長期的に学習効果が上がります。短期で検定の合格を目指すなど、机に向かって勉強するという場合もありますが、語学はそもそもコミュニケーションや情報収集の手段ですから、生活の中に組み込んでしまった方が無理なく続けられます。
例えばSNSで英語のmeme(ミーム:ネタ系の投稿)アカウントをフォローするだけでも、日常に自然と英語で考える時間を組み込めます。面白いフレーズに出会ったら、すぐに声に出して音読を実践することもできます。外出先では口パクするだけでも効果がありますよ。
「音読」は「演技のお稽古」
英語の勉強をしているのか、役者の稽古をしているのか、どっちか分からなくなると良いです(笑)
気合を入れて音読を始めた人が、たくさん音読することを意識するあまり、ずっと棒読み状態になっていることがあります。それでは退屈ですし効果も期待できませんので、どうせやるなら楽しく演じましょう!
人生はあなたが主役の舞台です。英語で、自分をドラマチックに、カッコよく見せる俳優(声優)になったつもりで声にしていくとうんと上達しますよ。
身振り手振りは効果大!
TED Talksという、様々な分野の専門家や著名人が短いスピーチを行うシリーズがあります。英語学習者の間でも有名で、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。そこでは、ほぼ例外なく、誰もが大なり小なり身振り手振りを交えて話をしていますよね。ステージで自信を持って観客に語り掛ける姿は本当に素敵です。
ぜひ音読の際も、教材を書見台に立てて両手をフリーにして、あるいはスマホ片手にもう片方の手はリズムを取りながら声をだしてみてください。ただ文字を追い声を出すよりも、自分の「主人公感」がはるかに高まるはずです。
ただの音読が、「私/俺って、めっちゃカッコよくない?」という時間になるだけでも楽しいことですし、成果も別次元まで高まりますよ🚀
また、自分の話す英語の内容をきちんと理解できるほど、身振りや手振りもより自然なリズムで行えるようになりますので、客観的な判断基準としても便利です。
発音も意識しよう!ただし…
正しい発音を学ぶことは、リスニングを上達させる上でも大切ですし、ネイティブの音声を真似るシャドウイングやオーバーラッピングは効果的な練習方法です。
すこし極端ですが、"What do you want?"を「ワダヤワン?」とか、"Isn't that cool?"を、「インナックー?」という感じで言ってみると、一気にネイティブっぽくなって英語が上手になった気がするかもしれません。 YouTubeなどでもネイティブの解説動画がたくさんあると思いますので、参考にしてみるとよいでしょう。
そして、例え今がパーフェクトな発音でなかったとしても、「堂々と」声に出していきましょう。その上で発音の練習をしていけば自信が倍増していくでしょう。
一番大事なのは「伝える気持ち」であって、発音も含めて言語はその手段です。
流暢さと発音の正確さは別物
東南アジアや、ヨーロッパでも一部の地域では、英語の発音が個性的でもとても流暢に話す人が多い国があります。
インドやバングラディシュ出身の方とお話したことがありますが、日本人のカタカナ英語が可愛く思えるくらいインパクトがありました(笑)
これらの地域は、英語のコミュニケーションにおいて「意味が通じること」と「躊躇なく話せること」を重視する学習文化が根付いていると言えます。
流暢さ(スラスラ途切れず話す能力)と、発音の正確さ(ネイティブの発音にどれだけ近いか)は別物です。
自信を持って声に出していきましょう!
「ちょっと自信過剰」なくらいでちょうどいい
先の「発音」に通じるところもありますが、目標は高く、でも自分の現在の英語力にも自信を持ちましょう!
オーストラリアで日本語を教えている学校の生徒たちの話です。子供たちはみんな「俺の日本語聞いて!」「私日本語とっても上手なの!」と元気いっぱいです。
で、実際しゃべってもらうと、いうほどたいしたことない(笑)。私たちが初めて"はろーはうあーゆー?"と言っていた時のようなものです。
でも子供たちは本当に楽しそうで、日本語をしゃべれる自分たちを本気ですごいと思っているようです。
こういうのこそ語学学習のあるべき姿だと思いますし、ぐんぐん新しい言語を吸収していけるでしょう。
日本でも、小学校の間は楽しく英語を学べますが、小中高と進学するにつれ文法と読解と紙のテストが中心になり、小さなミスを評価されることに慣れすぎてしまい、結果、自身の英語について「できること」よりも「できないこと」ばかりを気にしてしまいます。
とてもシンプルな事でも、たとえ単語の羅列になっても、英語で表現できたことを喜んでいきましょう!そうして小さな自信をたくさん積み上げていけば、気づいた時には自分の英語力がとても成長していることに気づくはずですよ。
最後に
別の記事でも紹介していますが、ドウェイン・ジョンソンの素敵な言葉をでこちらでも紹介します。
"Success isn't overnight. It's when everyday you get a little better than the
day before. It all adds up."
- Dwayne Johnson -
「成功は一晩でやってくるものではありません。毎日少しずつ前日よりも良くなることが成功です。全てが積み重なっていくのです。」
皆さんの英語ライフに幸あれ! May success be with your English learning!








